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月の光 105

 仕事帰りに、中西と里美が列車ハウスに現れた。

 「斎藤さんが退職されてから、皆さんが集まるのも、久しぶりですね。」

 モナが歓迎の挨拶をすると、里見が答えた。「はい、実は、今日は美穂さんから連絡があったのです。20時のニュースを見るようにと言ってたので。」

 「そうか、それで俺の所にも、連絡が来たのだな。でも、どんなニュースなのだ?」斎藤が、里見に尋ねた。
 
 「それは、見ればわかるって言ってましたけど。」里見も、内容は知らされていなかった。

 暫くして、ニュースが始まった。

 『ここは、九州玄界灘にある島です。実は、この島で、大型の蜂が発生しています。大陸由来の蜂ですが10年ほど前に、初めて発見され、それ以来何とか定着を防ぎ駆除しようと努力が続けてこられましたが、遂に大規模な巣が発見され、駆除は不可能と判断されました。

 問題は、蜂だけではありません。気候変動の影響なのか、多くの大陸由来の昆虫が侵入しています。アリや、最近ではバッタも飛来するようになりました。

 これらは、気候変動の為と言われていますが、人や物の移動に付随して侵入する例も見られます。一度定着した昆虫を根絶させることは不可能と見られます。

 この傾向が続くと、東日本で発生した蜂やホタルのように、新種の昆虫の侵入も懸念されています。それらがどのような病害をもたらすのか、それもまだ分かってはいません。

 現状の、水際対策はすでに破綻しています。それに代わる対策はまだ政府内で検討すらされていません。果たして、人やモノの移動を現状のままの管理で良いのか、懸念されています。

 玄界灘の国境の島から大沢美穂がお伝えしました。』

 皆、ニュースが終わっても暫く黙っていたが、斎藤が口を開いた。

 「美穂さんは、あんな所に行ってるんだ。」

 「玄界灘って言ってましたよね。あそこの島は、以前から大陸からの侵入が多いですよね。虫に限らず、人も。物も良く流れ着きますからね。」中西が、そう言うと 「詳しいじゃないか。なんで知っているのだ?」と斎藤が少しからかうように尋ねた。

 「いやあ、自分だってニュースは知っていますよ。でも、美穂さんがわざわざレポートするってことは、あの島にも、異変があるってことですかね。」

 「そうだろうな、でなけりゃ、わざわざ皆を集めたりしないだろうし。」

 「でも、今回は、種類が多そうですね。蜂だけじゃなく、アリやバッタもって話してましたね。」里美が、不思議そうに言った。

 「バッタは、私がメソポタミアにいたころも、困っていましたよ。大発生しましたから。その為に、バッタに襲われた国は、飢饉になって、他の国と戦争になったりしていましたね。」

 モナが昔もそういう事があったと話した。だが、誰もどのような被害がこれから起きるのか、具体的には想像がつかなかった。           

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