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月の光 113

 電気が復旧し、辺りを見回すと、一面に白アリがはい回っている。
 
 橋本は、原子力発電所の職員たちに指示して、バイオ洗剤を用意させた。そして、そのバイオ洗剤に向けて、ヒューマノイドが光を放つと、バイオ洗剤は活性化し紫色に輝きだした。

 ヒューマノイドは、数匹の白アリを生きた状態で捕獲した後、その紫色の洗剤を水で希釈し大量に用意すると、白アリたちに向けて放射した。バイオ洗剤の入った水をかぶった白アリは、たちまち動きを止め、流されていった。

 ヒューマノイドは、各フロアに行き、同じようにバイオ洗剤を放射した。

 「これで、取あえず、一旦は白アリは退散するでしょうが、コロニーがあるはずですから、またその内発生するでしょうね。」橋本は、想定以上に白アリの数が多い為、うんざりしていた。

 「この後、我々はどうしたら良いでしょうか。」原子力発電所の職員がそう力なく尋ねるのだが、橋本の返事も芳しくなかった。

 「私達は、この後、通信回線を復旧させて、帰ります。白アリについては、このバイオ洗剤を定期的に散布する以外今のところ対処の方法がありません。」

 橋本は、本来なら白アリのコロニーを突き止め、そこを破壊すべきなのだが、その時間はなさそうだと考えていた。

 被害に遭っているのは、ここだけではない。全ての建物が同じ状況なのだろう。田上局長が言っていたように、防衛できる避難所を限定し、そこで防衛ラインを築くしか方法はなさそうだった。

 後の対応を、陸軍と原子力発電所の職員に任せた後、橋本達は再び空港バスで板付基地空港へと急いだが、その時にはもう午前8時を過ぎていた。空は雲が消え、青空が広がり太陽が顔をのぞかせていた。

 橋本達が去り、太陽が力を増してきた午前10時過ぎ、玄界灘原子力発電所の周囲では、羽蟻たちが一斉に空に舞い上がっていた。


 橋本達が玄界灘原子力発電所で白アリと格闘していた頃、板付基地空港では、黒アリが再びその姿を現わしていた。

 NGX4001は、指示されていた通り、アリを生きた状態で捕獲した。そして、その内の何匹かのアリに光を放射した。すると、光を受信したアリは、他のアリと進路を変え、元のコロニーに戻っていった。

 コロニーでは、巨大な女王アリとその親衛隊のアリたちが残っていた。光を浴びたアリは、女王アリに近づこうとするが、途中で親衛隊のアリに捕獲されてしまった。

 その様子は、NGX4001の脳内の受信器に送信されていたのだが、結局女王アリを捕獲することには失敗してしまった。

 板付基地空港に戻った橋本は、NGX4001から状況の報告を受けたが、やはりアリの数が多すぎるため、これ以上の対応はあきらめた。

 ここでも、完全にはアリを殲滅できなかった。橋本は、捕獲したアリを持って、下総香取の航空宇宙センターへ戻ることにした。

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