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ロクサーヌ (その73)

2140年 10月 ウイーン
 私オリガ・スベトラーナは、ベラルーシのスモレンスクで生まれた。
先祖は、198x年に起きた核施設の爆発の為放射能を浴びた。
その為、私には生まれつき2つの顔がある。もう一人の私の顔は見たことがない。
 彼女は私の後頭部にいて、私とは反対方向を見ている。彼女の顔は私より少し小さく、いつも髪の毛に覆われている。私は首にスカーフを巻きいつも彼女の顔を隠すようにしている。
 彼女は言葉を発したことがない。誰も彼女に話しかけないからだ。
だから、私は彼女と話したこともなく、彼女がどんな思いでいるのか知らない。
私は密かに彼女をカーチャと呼んでいる。
 今私は研究者としてウイーンの ERU(ヨーロッパ・ロシア連合)の研究所にいる。
ここで、新しい量子コンピューターの実験をしている。
世界の未来の複数性と人間の意識についての研究である。
研究の目的は、文明の衰退を防ぐ方法を探るためである。
私達の文明は、一つの社会であり、有機体である。つまり、文明それ自体が一つの生命体であると認識している。その為、文明は成長しやがて老いて死んでゆくのだ。
それがつまり、文明の衰退の原因だと思っている。
 私たちは、この文明の構成員であり、一つの細胞である。
それぞれに自分の役割を理解し行動している。
そうすることが、文明全体の生存に有用だからである。
もし、各個人が、その認識を誤り、生命体である文明を傷つける行動をとれば、
それはガン細胞と同様に処理される。
それが ERU の出した結論であり、社会の総意である。文明の維持が優先される。
 ニッポンのチームが出した世界の複数性という理論はもうすぐ失敗に終わるだろう。複数の未来の可能性は確かにあるのだが、我々の現実は常にそのうちの一つを選択するからだ。選択されることのなかった他の未来は、永遠に消え去ってしまう。現実は常に一つしかないのである。
 だからと言って、その選択された未来が正しいとは言えないと思っている。
私は、ヨーロッパとロシアの歴史に疑問を持っている。
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