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ロクサーヌ (その9)

 1ヶ月ほど経ったある日、親しげに話しかけてくれた人がいた。彼は、私の調書をみて同情してくれたのだ。「今までとてもつらい目にあってきたんだね。何も悪いことをしたわけでもないのに、サマルカンドでもひどい目にあって、ここにきても疑われるなんて。まだ17才なのに、本当に苦労したんだね。」私は、不意に涙が出そうになった。「君を収容所から出してあげるから、もう何も心配しなくていいよ。」彼は、優しい声でそう言ってくれた。私は収容所を出られることになった。しかし、条件があった。公安警察の指示に従い、ある団体の集会に参加して、集会の参加者やどのようなことをしているのかを調べて報告するように言われた。その団体は今のところ国家に害をなしているわけでもなく、そのような兆候があるわけでもない。しかし、人が集団を作ること自体が問題視されているようだった。私自身も公安警察に監視されるのだ。それでも、従わなければこの収容所からは出られない。彼は、収容所の人間ではなく公安警察だった。私は、迷ったのだが彼を信じることにした。そうしなければ、ここを出られないと思ったからだ。収容所を出る日、ご主人が門の前で待っていてくれた。忘れずにいてくれて嬉しかった。「ロクサーヌ、やっと出られたね、良かったね。よく頑張ったね、お祝いにとびきりおいしい中華料理を食べに行こう。」「ありがとうございます、ご主人様。本当にとても嬉しいです。」私はホッとして幸せな気分になった。
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